びっくり!胎児の顔が教えてくれる進化の軌跡

きっと良くなる!ますます良くなる!必ず良くなる!東横線学芸大学駅1分癒道整体ヘルメスでございます。

最近ハマってます解剖学者三木成夫先生の著書のご紹介です。
『胎児の世界』三木成夫著

生物学的知識が多少ないと難解かと思われますが、著者の生き物に対する愛情が満ち溢れる感動の一冊です。

最近なにかと難しい症状の方が増えてますが、さまざまな視点から人体を俯瞰していくと、解決策が見出しやすいように感じております。

以下レビューになります。

【胎児の顔が教えてくれる、進化の軌跡】

解剖学者三木成夫氏が1983年に著したこの本は、科学書においては最新のものが有用、としたらかなり古いものです。ですが、この本が30刷を重ねていることからも、いかに必要とされているか伺い知ることができるでしょう。

私は、胸が高なり、生命に対し自然に対し、深い尊厳を覚えました。自分が今ここに在る偶然が、こんなにも尊いものだったとは!

胎児の世界
(著者が好んだロダンの“青銅時代”の足元。教鞭をとられた東京芸大にて)

ヘッケルの導いた「個体発生は系統発生を繰り返す」、つまりある動物の発生は、その動物の進化の過程を繰り返す形で行われるということを、解剖で実証した著者。本著は、その研究の軌跡をたどるとともに、生命(植物も含め)地球、宇宙を、発生進化という視点で捉えたものと言えるでしょう。

『内臓とこころ』『生命とリズム』の表紙ともなっている、胎児の顔の変化を表したスケッチが、どのようにして得られたものか、私はずっと疑問に思ってましたが、その経緯が第二章で描かれます。講義をわかりやすくするために、苦悶の末に、胸に顔を埋めていたホルマリン漬けの胎児標本にメスを入れ・・・。そこでエラをもった魚から、両生類、爬虫類・・・と変化していく顔に出会うのでした。

30億年以上前の海の中に、最初の生命が誕生したそうです。私たち人間は、十月十日羊水(古代海水の組成と酷似するという)の中で、その進化の歴史をたどりながら成長していくのです。

とりわけ魚類から爬虫類になる(つまり上陸する)過程が、ヤマのようです。ニワトリの卵なら4日め。そこで卵は“弱り”実験が難航します。5日めになると見違えるように元気になり、脾臓組織が分離。ヒトの場合は、上陸後に“つわり”が始まる(『内臓とこころ』に書かれてました)そうですから、上陸とはかくも大変なプロセスなのですね。

たしかに妊娠中も初期は、特に大事にするように!と再三言われましたっけ。

生物の二大本能とは、「個体維持」と「種族保存」。

生物は、その二つの相を寿命の前半と後半とで遂行することから、生命のもつリズム、渦巻き、果ては伊勢神宮の遷宮へ。哲学的な趣を帯びてきます。

食材で季節感を味わう機会も減った今、月経はそういえば月の28日周期で、出産が多いのも満月のとき、などという知識は単なる符号としてしか感じられません。

ですが、まぎれもなく私たちヒトは、海から生まれ、「太陽を心臓として、天空と大地を結ぶ循環路の、ちょうど毛細管の部分に相当する」植物が産する酸素からエネルギーを得て、生命を循環させる宇宙の一部なのです。

時間軸でも空間中でも、より広~い視野で自分自身を捉え直すとともに、生命の偉大さ尊厳を、胎児の成長過程から、改めて思い知る素晴らしい著作です。

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