ベルギー映画“午後8時の訪問者”のレビューです。

ベルギーで、留学していたことがあり、懐かしさもあって、ダルデンヌ兄弟が監督した作品“午後8時の訪問者”を鑑賞してきました。(少しネタバレかも)

舞台はリエージュ。古都です。

歴史的な町並みもあってきれいなところなのですが、映画では中規模都市の殺風景で無機質な場面しか出てきません。

そしてフランス語!ベルギーのフランス語は、滑舌が悪くて抑揚に乏しくて・・・どんだけ悩まされたことか!
あぁお懐かしい!

若い女医ジェニーが、診療時間を過ぎて鳴らされたドアベルに応じなかったところ・・・。
翌朝、防犯カメラに映っていたその少女が、死体で発見され・・・。

良心の呵責から、女医は少女のことを探っていくのだが・・・。

といったストーリーが、サスペンス仕立てで、でも淡々と紡がれていきます。

事件の真相がわかり、少女の周囲の人間関係も判明し、そうしてやっぱり平凡な日常が過ぎていきます。

一体何が言いたいの・・・?

なんの説明もないので、私が考えるには、事件によって変化した女医の生き方なのでは。

彼女には、大きな病院でのポストが用意されていました。

それを喜んでいたにも関わらず、ドアベルに応じなかった自分、それから若い研修医を傷つける一言を吐いてしまった自分を振り返り、そうして地域の小さな診療所で医師として働くことを、自分から選び取っていきます。

往診はあるし、夜中に呼び出されることも度々。だけれど地域の人から慕われ、小さなプレゼントなど貰い、お年寄りの手を引いてあげて・・・。

カッコよさはないけれど、身近な人に寄り添っていく、そんな地道な医療を選んだ心の軌跡がテーマなのでは。

それにしても、ジェニーの潔い行動と対照的なのが、男性たちの弱さです。

ある程度、人生経験のある人向け、味のある作品です。