いい緊張は人生を豊かにしてくれる!

ベストセラー作家で精神科医の樺沢紫苑先生の新著、『いい緊張は能力を2倍にする』のレビュー記事です。

緊張という抽象的なものを、明確な、対処可能な現象に落とし込んで、有効な対策をわんさか出してくださってるので、かなり有効な一冊です。

 

以下、レビューになります。

あっ、そういうことだったのか!緊張は人生を豊かにしてくれる!

“いい緊張で能力が2倍に”なった実体験があります。

小学3年生のときのこと。当時、私は市の児童合唱団のお姉さま方の清冽なハーモニーに、限りない憧憬を抱いてました。私も絶対、あのハーモニーに加わりたい!!そう秘かに思い続けてました。

当時、とても内気な少女だったのです。

入団できるのは小学4年生から。3年生の秋に、入団を決める実技試験が催されました。課題曲があり、一人ずつ歌うことになってました。私は一人で限りなく課題曲の練習を重ね、本番を迎えたのです。

小学生にとって、人前で一人で歌うことさえドキドキものだったのですが、なぜか、当日の私の歌声は、自分でもかつて聞いたことのない清らかな美しいソプラノで、正確な音階を奏でてました。自分でも驚きました。

同時に合格を確信したのです。不思議なことに、それ以後、同じ歌声を聞いたことは、私はないのですが。

そんな経験から、緊張は敵ではなく、うまくコントロールすれば、“火事場のばか力”的なものが発揮できるのだろう、くらいに記憶してました。
ですから、この本のタイトルを見たときに、そう!そう!そうなのよ!と同意。

そんな経験を踏んだためか、特に“緊張”に悩まされることは少なく、関心はなかったのですが、樺沢ファンですので、この本を手に取りました。

驚いたのは、“緊張”という抽象的で個人差があって数値化しにくい現象の原因を、3つに絞り込んでいることです!
■交感神経が優位
■セロトニンが低い
■ノルアドレナリンが高い

この3つしかない!ということです。
人間、言葉にできない、明確でないものに対しては、苦手意識がつきまとうものですから、こうあっけらかんと絞り込んでくださったことに、感謝です。この3つへの対策を講じれば、済むのですから。

また、驚愕の発見がありました。

ノルアドレナリン・コントロール術7,「自分から手を挙げる」です。面倒なことも、自分から「やります!」と手をあげることで、ノルアドレナリンモードが抑制され、緊張しづらい状況が作り出される、とあります。

これも実体験があります。私は子供のために、特に学校との馴染みの薄い1年生のときの最初の保護者会で、学校との関わりが多い(つまり面倒くさい)役員に、自分から手を挙げることにしてました。少しでも子供が、学校に早く馴染めるように、良いスタートを切れるようにと考えてのことでした。

私自身にとっても初めての学校ですので、わからないことだらけで大変なことは、実際たくさんありました。「話が違う!」といった思いもよらない難題を押し付けられたこともありましたが、『自分から手を挙げ』たためか、前向きに取り組めたと思います、振り返れば。

そして、そんな『自分から手を挙げ』たためでしょう、弁護士、医者、大学教授などがひしめく120名ほどの保護者を前に、自分の思いを5分間ほど、発表することができました。これは今でも自分にとっての自信の源でもあるのですが、“第五章 マインドチェンジ術1「相手のため」を意識する”にあるように、自分のためでなく、ある行事を成功裡に導くために(それは子供のためにつながるわけですが)、伝えようと思い立ったためだと合点しました。

というわけで、振り返ってみると、緊張する場面をあえて踏むことで、より感動の多い人生を歩めてきたように思います。人前で歌うことなんてとんでもない、と思っていたら、自分の可能性を信じることのできない人生を送ってきてしまったでしょう。保護者会の役員決めで、下を向いて逃げてきたら、ママたちとの絆も生まれなかったし、行事での達成感をみんなで分かち合うこともなかったでしょう。

緊張の強いられる場面を、敢えて自分から飛び込むことで、より密度の濃い、感動の多い人生を送ることができるのだという確信を得られた一冊でした。

ありがとうございました。

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