圧巻!縄文美術の芸術性。現代美術と比較にならない・・・
全盛期の縄文土器展(長野県立歴史館)へ、行って参りました。縄文時代って、1万4千年も続いたんです。そのうちの中期(5千年まえ~2千年まえ)の作品が、特に素晴らしいとされています。
例によって、日本国史学会の勉強会で、歴史家で美術史家、高名な田中英道先生と、お写真撮らせていただきました!こちらは、森将軍塚古墳になります。
古墳の概観です。ちなみに古墳時代は、”前方後円墳”(江戸時代に命名されたそう)といいますが、実は”前円後方墳”なのです。
ここから見て、奥の高い位置にあるのが、円形部分でそこに、重要な棺が納められているからです。
田中先生の解釈では、円が太陽を、方形が大地を表している、と。だから前円後方墳だと。確かにそうですよね、段差使いからも明確ですね。
古墳の円形部分からは、千曲市がひろく臨めます。つまり高い位置につくって、重要な方があそこに眠っている、と死者を顕在化し、偉い人と生きる、という意識がうまれるような配置がとられていたそうです。
こちらの森将軍塚古墳は、全長100メートルで比較的大型のもの。それを復元したものが、隣接する博物館におさめられています。
すごいですよね、この石の量!長野県北部からも運ばれてきたものだそう。
博物館の建物自体が重さに耐えられないから、FRPのものも使っているそうです。
古墳の中央にある凹み部分が棺をおさめる石室となっていて、それを側面から見られるようになっています。
結構広いですね。そして天井部分はベンガラで赤く着色されています。赤に意味があったのでしょう。
このあたりの古墳は、何度も盗掘にあっているそう。名高いのが、江戸時代の”塚堀り六兵衛”さんだそうです。
そうした盗掘にも関わらず、残っていた勾玉は、糸魚川の翡翠で。美しいですね。
そうして晴天のもと、築地あおきのお弁当いただきました。
美しく、かつ美味しくって。
そしてこの日のメイン、お隣に建つ、長野県立歴史館へ。
縄文時代中期(5000年前~4000年前)の、長野県内で採掘された縄文土器です。素晴らしいですね。
こちらも、優雅な曲線に、美しい装飾。
縄文土器というと、いわゆる”火焔土器”、四方に突起のある単純なものがよく教科書に出てますが、驚くほどヴァリエーションが豊富なのです
この突起部分もかなり精巧につくられていて、それだけでなく周囲の装飾もこだわりが感じられ、見事です。
「これ何スか!?」って感じなのですが、おもしろいですよね~。決して左右対称ではありません。
有機的な、水とか、渦などを連想させますね。田中先生は”聖なる水”をたたえる抽象美と。縄模様で囲うことで、結界とし中のお水を聖化しているそう。
これも美しいですよね、高さ60センチほどの、結構大きな作品です。
おもしろいですよね、そして美しい!
こちら、この流れるフォルム、ギリシャ・ローマの遺跡を知ってるわけでも、美術館へ行ったわけでもないのに、この美しさ、洗練度合い、驚きです。
生き物を連想させるような、遊び心もあって。
このあたりは、謎シリーズ。一体どうしてこのような造形が生まれるの!?
もはや、現代美術はとうてい及びませんね。
模様がなんともエレガント。
サボテンチックな周囲のもりもりが、なんとも楽しい。
かなり安定しなさそうなのですが。美しい。一体どういう使い方をしていたのでしょうか。
こちらも大物なんです。土に埋没させて使っていたのでしょうか。
こちらは40センチくらいの高さのもの。びよ~んと広がった花びらのような造形が、極めて独創的ですね。
カメレオンとか鳥のくちばしとか、いろいろ連想させますが、決して写実ではありませんね。ふたつとして同じ形がない、縄文土器に見られる、美しい造形を生み出すイマジネーションの源って・・・。
このくびれは、一体なにゆえ?おもしろいですね~。
こちらも美しい。機能とか、そうした制約にもとらわれない、美しいものをうみだす自由な創作意欲、芸術意志(クンストヴォーレン)が伺えます。
決して左右対称ではない、手づくりなので、一つとして同じものがない、縄文人は、同じものがひとつもない、そんな自然の真理を体得していたのでしょう。
自然に対する抽象化、美化、洗練された美の力が縄文土器にはある、
文字がなかったため、言葉は豊かではないが造形によって美を表現する文化度の高さを示している、と田中先生はおっしゃいます。
古墳を背景に。
5千年、4千年も前に、日本人(縄文人)は、これだけ洗練された美の表現をしていた、という事実。
古代ローマ、ギリシャ以前では。日本人はもっと誇りを持っていいのかもしれませんね。
田中先生は、かねてから切望されているという、縄文土器展のローマ開催に向けてご準備されるご様子。
写真でもある程度伝わるかと思いますが、実物のド迫力はかなり刺激的。
11月23日までの開催です。長野県立歴史館にて。
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